2017年11月5日日曜日

論文が公開されました

メルヴィルの "Bartleby" 論が、Cambridge University Press 発行の Journal of American Studies  という雑誌に掲載されました:https://doi.org/10.1017/S0021875817001402.

要旨は以下の通りです:


To reconsider the affective turn in American literary studies, this essay reads Herman Melville's “Bartleby, the Scrivener” (1853), with reference to “Benito Cereno” (1855) and The Confidence-Man (1857), as an anti-affect story. By shedding light on silent characters in these works – Bartleby, Babo, and Black Guinea – it argues that Melville endeavors to adumbrate, not articulate, their private interiorities through language. Calling the inner recesses of his silent characters “secret emotions,” Melville probes into the boundaries between the effable and the ineffable by testing the limits of literary language. If “affect” refers to the kind of emotion that eludes signification through language, reading Melville in this manner encourages a reappraisal of the relationship between affect as a non-linguistic emotion and literature as a linguistic construct.

雑誌の出版自体は2019年と先なのですが、この雑誌は先に個別の論文をオンライン公開するシステムとなっているようです。Cambridge Journals というデータベースを購読している方はそちらから見られるようになっています。

購読されていない方でもしご興味がある方は、私に個別にメールをくだされば、個人的に論文ファイルをお送りいたします。

2017年11月1日水曜日

研究発表のお知らせ

11/24 ()に、中央大学の公開研究会で研究発表を行います:http://www.chuo-u.ac.jp/research/institutes/culturalscience/event/2017/10/62367/

発表タイトル、要旨は以下の通りです:

テーマ:     「孤独の共同体:メルヴィル晩年の詩集を読む」

旨: 十九世紀アメリカ文学における「孤独(solitude)」
    について考えます。十九世紀のアメリカ作家たちは、
    孤独をどう捉え、そこにどのような価値を見出した
    のでしょうか。こうした問題を考えるため、本発表
    ではハーマン・メ ルヴィル晩年の詩集 John Marr
    and Other Sailors (1888)を精読します。また、アメ
    リカの大学院での博士論文執筆や、現在取り組んでい
    る研究プロジェクトについてもお話しさせていただく
    予定です。


基本的には、先日の成蹊大学の科研研究会で発表した内容と同じものとなります。また、この発表は以下の出版済みの論文に基づいています:


Furui, Yoshiaki. "Writing a Durable Mark: A Community of Isolatoes in John Marr and Other Sailors," Leviathan: A Journal of Melville Studies 19.2 (2017): 52-70. 


この論文はProject Museからもダウンロード可能ですが、アクセスをお持ちでない方はここからフリーでご覧いただけます。

公開研究会ということで、どなたもご参加いただけるとのことです。もしご興味があればお越しください。

2017年7月30日日曜日

研究発表を終えました

昨日は、成蹊大学で研究発表を行いました:http://shimokobe.net/md2/。発表にお招き頂いた下河辺美知子先生には、深く感謝申し上げる次第です。

発表は、先日アメリカで出版されたメルヴィルの John Marr 論を手短にまとめたものが主たる内容でしたが、冒頭では2015年に提出した博士論文の内容についても説明させていただきました。

参加者の多くの方々から有益なコメントをいただき、今後の研究に繋がる刺激をいただきました。来て頂いた方々、質問をくださった方々に感謝です。

ソローがご専門である明治大学の山本洋平さんが、さっそく私の発表内容をブログでまとめていただきました:http://cafe-melville.blogspot.jp/2017/07/john-marr.html。手際よくまとめてくださっているだけでなく、内容にも深く切り込んだ記事となっており、発表者としては、こんなに真剣に聴いてくださったことがとても嬉しいです。発表者冥利につきます。

2017年7月18日火曜日

論文が受理されました

メルヴィルに関する論文がジャーナルに受理されました。Cambridge University Press から出ている、Journal of American Studies という雑誌です: https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-american-studies

これで英語圏での論文は5本目となりますが、これまでで一番規模が大きい発表媒体かもしれません。しかし、なんと掲載予定は2019年(!)ということで、出版されるのは今から2年くらい先の予定です。英語圏の媒体に発表するのは、広範な読者に読まれるという利点もありますが、なかなかスピーディーに出版されない、というデメリットもありますね。

論文タイトルは "Bartleby's Closed Desk: Reading Melville against Affect" というものです。アフェクト理論によっていかにメルヴィル作品を読むことができるのか、あるいはできないのか、という問題、さらにはアフェクト理論の文学研究への応用可能性という大きな問題についても論じています。扱っている作品は、"Bartleby," "Benito Cereno," The Confidence-Man の三つですが、主に "Bartleby" 論となっています。

これまでの私の仕事では、文学テクストを歴史的文脈と関係付ける論文が多かったのですが、今回の論文は「アフェクト理論」という理論を中心に扱ったものとなっており、自分としては新たなチャレンジのつもりで書きました。それが今回の結果につながったことはとても嬉しく思います。

今回の論文は、2016年6月に日本英文学会関東支部のメイン・シンポジウムで発表したことがきっかけとなりました。「近代と情動−−文学、美学、哲学、心理学の相互交渉をめぐって」というタイトルのシンポでした。詳細はこちらから:http://d.hatena.ne.jp/melanie-ji-woo/20160422

このシンポにお声がけくださり、アフェクト理論について考える機会をくださった成蹊大学の遠藤不比人先生には、この場を借りて感謝申し上げたいと思います。

2017年6月21日水曜日

研究発表のお知らせ

7月28日(金)に成蹊大学において、現在取り組んでいる研究テーマ、solitudeについて研究発表を行います。発表タイトルは 「Networked Solitude: John Marr and Other Sailors における孤独の共同体」です。

詳細は以下をご覧ください:http://shimokobe.net/md2/

基本的には、先日アメリカの雑誌で出版された John Marr and Other Sailors 論に基づいた内容になりますが、2015年に提出した博士論文の内容、そして現在取り組んでいる研究プロジェクトに関しても触れる予定です。

どなたも参加可能ということなので(事前連絡が必要なようですが)、ご興味があればお越しください。

2017年6月16日金曜日

論文が掲載されました

Leviathan: A Journal of Melville Studies 最新号に論文が掲載されました。以下のリンクで読めます:

https://www.academia.edu/16964105/Writing_a_Durable_Mark_A_Community_of_Isolatoes_in_Melvilles_John_Marr_and_Other_Sailors

この論文はメルヴィル晩年の詩集、John Marr and Other Sailors を論じたものになっています。タイトルは "Writing a Durable Mark: A Community of Isolatoes in John Marr and Other Sailors" です。現在取り組んでいる研究テーマ、solitudeに関して書いたものです。

Leviathan には二度目の掲載で、メルヴィルを中心に研究してきた身としては嬉しい限りです。とはいえ、論文を投稿したのは2年以上前、掲載が最終的に受理されたのは2015年の10月だったので、ここまで長い道のりでした。ようやく出版されてほっとしています。

英語圏での査読論文はこれで四本目になります。海外で論文を出してもなかなか日本の方には届きづらいので、今回の論文出版をきっかけに、仕事の告知用としてブログを始めてみました。よろしくお願いします。

日本英文学会のシンポジアムに登壇します

来週末に東北大学にて日本英文学会全国大会が開催されますが、最終日の5月5日(日)にシンポジアムに登壇します。詳細は以下の通り: 第9部門(B棟2階B202教室) 健康・病・障害:19世紀アメリカ文学の新展開 司会・討論 中央大学教授 髙尾直知 講師 青山学院大学教授 古屋耕平 講...