2025年6月3日火曜日
中原伸之賞を受賞しました
阿部幸大さんの選書フェア
新著『被害学のナラティブ』が話題の阿部幸大さんですが、東大本郷の書籍部で、「文章が上手くなるための本らしからぬ、文章が上手くなるための20冊」という阿部さんによる選書フェアが開催中です:https://x.com/toudaihbookcoop/status/1929752977281331452。
この選書20冊のうち、拙著『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』を取り上げてくださっています。以下のような推薦文をおよせいただきました。
ここに阿部さんが書いてらっしゃるとおり、阿部さんや私のような研究者を「過去のものにする」若い方々がこれから現れてこそ、人文学業界の発展といえると思います。
早いもので、拙著の刊行から一年以上が経ちました。もっと多くの読者に恵まれることを願っています。阿部さん、ご紹介をありがとうございました。
2025年5月29日木曜日
共著が出版されます
5/30に出版予定の共著が手元に届きました。髙尾直知・伊藤詔子・辻祥子・野崎直之編著『病と障害のアメリカンルネサンス:疫病、ディサビリティ、レジリエンス』(小鳥遊書房、2025年)という本です。出版社の情報はこちらから:https://www.tkns-shobou.co.jp/books/view/705。
私は第8章「痛みをまなざす:ディキンソンの脱制度的想像力」(pp. 171-94)という論文を寄稿しています。エミリー・ディキンソンの詩における「痛み」を、近年注目が集まっている医療人文学(medical humanities)という批評的潮流のなかに位置付けながら論じました。ディキンソンについて論じるのは、最初の単著Modernizing Solitude (2019)で論じて以来、かなり久しぶりでした。論の出来は読者に判断してもらうしかないですが、楽しく書くことができました。
ご興味のある方はぜひ手に取っていただければと思います。
2025年5月20日火曜日
『誘惑する他者』書評
アメリカ学会発行の『会報』第217号の新刊紹介欄にて、『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』が取り上げられました(p. 16)。評者は鈴木一生先生です。オンラインでも公開されています:https://www.jaas.gr.jp/wp23/wp-content/uploads/2025/05/%E4%BC%9A%E5%A0%B1217.pdf。
短い書評ではありますが、限られた紙幅の中で、本書で私が強調したかったポイントを掬い上げてくださいました。「倫理の一般性を振りかざすのではなく、あくまで作品側から抽出される倫理の個別性や流動性にこだわる古井氏の姿勢は、多くの文学研究者を勇気づけてくれる」と書いてくださいましたが、この評に私自身が勇気づけられました。
一般論を導くのではなく、あくまで作品読解を通じて個別具体性を提示することが文学研究者の仕事であると再認識した次第です。ありがとうございました。
2025年5月15日木曜日
『誘惑する他者』書評
東京大学アメリカ太平洋地域研究センター発行の 『アメリカ太平洋研究』第25号にて、吉国浩哉先生に『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』を書評していただきました。「21世紀の「文学の終わり」というタイトルの書評です(pp. 133-40)。
アメリカ文学をご専門にされながら、思想・哲学にも知悉している吉国先生らしく、柄谷行人、ルカーチ、近年のポストクリティークなどを参照しながら拙著をcriticalにマッピングしていただきました。濃密な書評です。理論に弱い自分には、理論的見地から大局的に自分の議論を俯瞰することができないので、拝読して非常に勉強になりました。学会以外の媒体で紹介されるとは思っていなかったので、取り上げてくださったことは嬉しい驚きでした。ありがとうございます。
2025年4月3日木曜日
阿部幸大さんの新著に推薦文を寄せました
阿部幸大さんの新著『ナラティヴの被害学』(文学通信)が手元に届きました。画像のとおり、この本に私が推薦文(blurb)を寄せています。
面白いのが、帯を外しても推薦文が表紙にそのまま印刷されていることです。これはアメリカの学術書を意識したもので、向こうの研究書も通例、表紙にそのまま推薦文が印刷されています。こうしたデザインからも、アメリカ的な文化を日本の出版文化に接合しようとする阿部さんの意図が見えます。
200字という文字制限のため、この本の良さはとてもこの推薦文に書ききれませんでしたが、アメリカ文学研究に関わる人たちには本書をぜひ読んでもらいたいと思います。阿部さんは「もう文学研究はやらない」というようなことを(たしか)X上で言っていた記憶がありますが、そういう発言に惑わされてはいけません。本書はすぐれた文学研究のモデルとなっていますし、私からすれば阿部さんはかなり「文学している」人に思えます。
ここで私が言う「文学している」というのは、文学テスクトを精読する姿勢のみならず、文学を読解する際にある感情的強度をもって特定のテーマに固執している、ということを指します。研究の背景に、ごく私的で個人的な論者の姿が透けて見えるということです。
私は特に、本書の大きなテーマでもある「部外者」に着目しているのがいいなと思いました。阿部さんは、ある事象に当事者として直接的に関わることができず、当事者性から疎外された孤独な個人の存在に光を当てています。周縁化されて批評に等閑視されてきた人物に注ぐまなざしが、本書を単なる知的な議論以上のものにたらしめていると感じました。まあ、こんな感想を抱くのは私くらいかもしれません。
文学研究に携わる人には必読の一冊です。
2025年4月1日火曜日
新作論文が公開されました
『ピェール』論集が刊行されます
論集 『メルヴィルの黙示――『ピェール』を中核として』(小鳥遊書房)の見本が届きました。 メルヴィルの奇書『ピェール』だけを論じた論集で、これ自体が奇書と言えそうです(両方ともいい意味で言っています)。収められた論文はなんと22本。出版社による情報はこちらから: https://...
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阿部幸大さんの『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』をご恵投いただきました。7月24日に発売予定のご本です: https://amzn.asia/d/0gxDM3a8 。 このブログは私の仕事の告知用に運用しているので、他の方のお仕事を紹介したことはないのですが、こ...
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一人の研究者が書いたものを、時系列順に読み進めてゆく-- そんな経験はあるでしょうか。 先日、紀伊國屋書店で阿部幸大さんとの対談が開催されましたが(お越しいただいた方々、ありがとうございました)、事前準備として、阿部さんが書いた論文を8本ほど時系列順に読むことで、「阿部幸大研究」...
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岸まどかさんの第一単著、 The Suicidal State: Race Suicide, Biopower, and the Sexuality of Population (Oxford University Press)が刊行されました。ご本人からご恵投いただき、読み進...