このたび、拙著『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』(法政大学出版局、2024年)に対して、アメリカ学会より第6回中原伸之賞が授与されましました。つい先日、5月31日に北海道大学で開催されたアメリカ学会大会にて、授賞式に参加してきたところです:https://www.jaas.gr.jp/archives/2332。
中原伸之賞とはどのような賞かというと、学会による説明を引くと以下の通りです:「この賞は、本学会員の第2作以降の単著(年齢制限なし)ないしは本学会員の最初の単著(この場合のみ出版時50歳以上であること)のなかから、日本、アメリカ、あるいは世界のアメリカ研究の水準を高めることに貢献できる、深い知見と新しい視座を提供する特に優れた研究書に、賞状と賞金5万円を贈るものです。」(https://www.jaas.gr.jp/nakahara-prize-html.html)
まずは、審査をご担当いただいた委員の先生方、そして(どなたか分かりませんが)外部査読を行ってくださった先生方に深く御礼申し上げます。一冊の本を読んで評価を下すというのは非常に大きな労力がかかる作業であり、労を割いてくださったご献身に頭が下がる思いです。ありがとうございました。
また、本書は元来、狭義のメルヴィル研究という専門の枠の外へメルヴィル作品を開くために書いた本です。アメリカ文学研究書を出版したことがない法政大学出版局から出版したこともその狙いの一環でした。内容に関しても、隣接した分野の知見を取り入れた学際的なアプローチになっており、まさに分野横断的な学術組織であるアメリカ学会にこのたび顕彰いただいたというのは、専門外の方に私の仕事を認めていただいた、ということかと思います。その意味で、当初の私の目的が達成されたように感じており、非常に嬉しいです。
大学のHPにも情報がアップされました。こちらでも受賞のコメントを寄せています:https://www.rikkyo.ac.jp/news/2025/06/mknpps0000038b6x.html。
これを機に、さらに多くの読者に本書を手に取っていただき、メルヴィル文学の面白さを伝えられればと願っています。