2022年5月31日火曜日

アメリカ学会年次大会のお知らせ

 今週末の6月4日、5日に、中央大学にてアメリカ学会が開催されます。

私は大会企画委員というものを務めており、5日に開催される部会(他学会でいうシンポジウム)の企画をしました。タイトルは「文学と歴史が交わるところ:学際性をめぐる対話」というものです。詳細は以下の通りです:

【 部会C 文学と歴史が交わるところ―学際性をめぐる対話 】 F 号館 F602、13:30-16:15

司会: 佐久間みかよ (学習院女子大学)

報告者:

白川恵子 (同志社大学)

「ナット・ターナーの場合――歴史記述と文学表象との「厄介な」不/可分性」

竹谷悦子 (筑波大学)

「「日本を閉ざす鉄のカーテン」――航空アーカイヴとアメリカ文学史の交錯」

討論者

久野愛 (東京大学)

丸山雄生 (東海大学)

私自身が歴史学の知見に頼りながら文学研究を行ってきたこともあり、この部会を企画しました。新歴史主義以降、文学研究者の多くは無自覚に歴史学の研究を活用してきた、あるいはディシプリンの境目を跨いできたのではないでしょうか。逆もまた然りで、歴史学の文献を読んでいると、事例として文学作品が扱われているのをよく目にします。

両者の境界が良くも悪くも軽々と越境されるようになった現在、あえてここで立ち止まり、文学研究と歴史学、それぞれの専門性を認識した上で、互いに対話することが重要に思います。これまで、両領域の研究者同士が対話する機会はなかったように思えるからです。

今年の年次大会は久しぶりに対面開催となります(一部はウェビナーでも配信)。ご興味のある方はぜひお越しください。

2022年3月31日木曜日

Billy Budd論が出版されました

 Oxford University Press発行のLiterary Imagination誌最新号に、私のBilly Budd論が掲載されました:https://doi.org/10.1093/litimag/imac008。書誌情報は以下の通りです。

Furui, Yoshiaki. "Hitting Billy: Mediated Interiority in Billy Budd." Literary Imagination, vol. 24, no. 1, pp. 25-37. 

ここ数年、他者の内面をメルヴィルが言語を通じてどう表象しようとしたのかというテーマで論文を書き続けているのですが、本論もその問題意識のもとに書かれたものです。

論文にアクセスできない方には個人的にファイルを差し上げるので、興味がある方はメールをいただければと思います。

2022年2月26日土曜日

Billy Budd論が出版されます

メルヴィルの遺作Billy Buddについての論文が、Oxford University Press発行のLiterary Imaginationというジャーナルに掲載が決まりました。ジャーナルのHPはこちらです:https://academic.oup.com/litimag。

書き終えて3年以上は経っている論文で、落とされたり、いいところまで行ったりと紆余曲折ありましたが、今回は投稿してからスピーディにアクセプトされ、さらにはなんの修正要求もなく通りました。

よそでかなり批判されて落とされたけど、他のジャーナルに出してみたらすんなり通った、ということがたまにあります。今回の論文に関しては、自分の中で直しようがない、あるいはもう直す気力がない、という感じだったので、内容は変えずに落とされては投稿を続けました。

Literary Imaginationは以前も違う論文を投稿してむげに落とされ、しかも査読結果が出るまで異様に時間がかかったのですが、今回は本当に短い期間で出版が決まったので驚いています。編集長次第なのでしょうか。謎です。

これでようやく手元にあるメルヴィル関係の論文の出版がすべて決まり、すっきりした気持ちです。今年はあともう一本、日本のジャーナルに論文が載る予定です。

計10本の英語論文が出来上がったので、いよいよ単著化の作業に取り組まなければ、と思って日々作業しています。すべてひとまずの日本語化は終わっているのですが、自分の英語をこなれた日本語に直すというのは思いのほか大変で、細かい作業はまだまだ残っています。

本にするといっても、出版社のあては何もないまま原稿を書いているのですが・・・。出版社探しも含め、これから単著出版を目指して本格的に動いていきます。

2022年1月6日木曜日

J19 Special Forum “Japanizing C19 American Literary Studies” 刊行記念ワークショップ

 J19の日本特集号がようやくProject Museで公開されました:https://muse.jhu.edu/issue/47143。

本企画の出版を記念し、以下の要領でズームイベントを開催します。ご興味がおありの方は奮ってご参加ください。

J19 Special Forum “Japanizing C19 American Literary Studies” 刊行記念ワークショップ

【概要】

J19: The Journal for Nineteenth-Century Americanistsは、およそ 10年前に創刊され、19世紀アメリカ文学・文化分野におけるトップ・ ジャーナルの地位を築いてきました。この度、本誌最新号に特別企画  “Japanizing C19 American Literary Studies” が掲載されたことを記念し、ワークショップを開催いたします。本ワークショップでは特別企画の議論を継続し、寄稿者たちに加えて若手研究者も迎え、日本人が19世紀 アメリカ文学を外国文学として研究する意味について討議します。

【日時・場所】 1月29日(土)13:00-15:00、Zoom

*冒頭の30分ほどは英語、その後は日本語で行います。要参加登録・無料。

【登壇者】

司会 

 古井義昭(立教大学准教授)

講師 

 ステイシー・マーゴリス(ユタ大学教授・J19編集長) 

 巽孝之(慶應義塾大学名誉教授・慶應義塾ニューヨーク学院長) 

 石原剛(東京大学教授) 

 鵜野ひろ子(神戸女学院大学名誉教授) 

 高橋勤(九州大学教授)

討論者 

 雨宮迪子(ユタ大学英文科博士課程)

【参加登録リンク】

https://forms.gle/DrNDRd2KRESFmYvFA

*ご記入いただいたメールアドレスに、ZoomのURLと本企画のPDFファイルをお送りいたします。当日は、参加者たちがファイルを読んだ前提で議論を行いますので、事前にお目通しをお願いします。 

*お問い合わせは古井義昭「yfuruiアットマークrikkyo.ac.jp」まで。

*本研究は、科学研究費の助成を受けています(研究代表者:古井義昭、課題名:ハーマン・メルヴィル作品における他者性に関する包括的研究、課題番号:20K00451)。




2021年12月31日金曜日

2021年の仕事

 2021年が終わるので、備忘録的に今年の仕事の振り返りをします。

論文

"Against the Assaults of Time: Uncertain Futurity in 'The Encantadas.'" Leviathan, vol. 23, no. 3, 2021, pp. 73-85. 【査読有】

"Introduction: Japanizing C19 American Literary Studies." J19: The Journal of Nineteenth-Century Americanists, vol. 9, no. 2, 2021, pp. 415-22.【査読有】

共著

『脱領域・脱構築・脱半球: 二一世紀人文学のために』小鳥遊書房、2021年(第二章「アサイラム・ファミリー :『七破風の屋敷』における家族・国家・未来」を担当)

『深まりゆくアメリカ文学ーー源流と展開』ミネルヴァ書房、2021年(「チャールズ・ブロックデン・ブラウン『ウィーランド』」、「ハーマン・メルヴィル『白鯨』」「ハーマン・メルヴィル「書記バートルビー」」を担当)

学会発表

「部会Bアメリカン・ファミリー:多様な家族のすがた」2021年6月6日、司会を担当

思い出す範囲ではこのようなところです。査読論文は一年に一本は頑張って出したいところでもあるのですが、でも出しすぎるのは自己模倣に陥る危険があるので難しいところです。

また、今年は日本語での仕事も発表できたのがよかったと思います。日本語論文を出すのは2016年に出した共著『モンロー・ドクトリンの半球分割』以来です。日英両方の言語でバランスよく仕事をしていきたいと思っていますので、今年はいいバランスで仕事ができたように思います。

来年に関して、出版が決まっているものとしてはメルヴィルに関する英語査読論文が2本(一つはアメリカ、もう一つは日本のジャーナル)、書評一本(日本の学会誌)があります。

今年の振り返りといっても、要するに1、2年前に頑張っていた仕事がようやく出る、というのがアカデミックな世界の時間感覚なので、実は「今年出たもの=今年頑張ったもの」ではありません。今年頑張ったこととしては、Israel Potterに関する英語論文を書き、珍しくすんなりとアメリカのジャーナルにアクセプトされたことです。また、メルヴィル単著計画の下準備として、これまで書いた英語論文をざっと日本語に訳し直しました。

さらに今年は、2019年に出版した拙著Modernizing Solitudeに関する書評が英語圏でようやくいくつか出版され、ひととおり書評が出尽くした感があります。本を出すということは、出版するまで5年、出版したあと2年くらいでワンセットなのだな、と実感しました。これで次の仕事に頭を切り替えられます。

来年は後期から1年間のサバティカルで、アメリカに滞在する予定です。もう一度アメリカで自分を鍛え直してきます。

J19最新号に日本特集が掲載されました

 19世紀アメリカ文学分野を代表するジャーナル、J19: The Journal of Nineteenth-Century Americanists(https://j19.pennpress.org/home/)の最新号に、日本の19世紀アメリカ文学研究を紹介する特集が掲載されました。

この企画は私が編集サイドに持ち込んだもので、"Japanizing C19 American Literary Studies"と題しています。私がイントロを執筆し、巽孝之先生、石原剛先生、鵜野ひろ子先生、高橋勤先生(掲載順)にご寄稿をお願いし、それぞれのご専門に沿って、日本における19世紀アメリカ文学研究をご紹介いただきました。

この企画では、日本の研究を紹介するだけでなく、日本人がアメリカ文学を研究する意義について考えることも意図しています。

最新号はどうやらアメリカ国内では紙媒体では届き始めているようですが(日本に届くのはまだ先でしょう)、Project Muse上で公開されるのはまだもう少しかかるとのこと。ゲラは見ているのですが、早く公開されるのが待ち遠しいです。

この企画の刊行記念として、1月29日(土)の13時からZoomを用いたワークショップを開催予定です。また詳細が決まり次第、各所で宣伝します。

2021年12月16日木曜日

Israel Potter論の掲載が決まりました

Herman Melville, Israel Potterに関する論文の掲載が決まりました。Texas Studies in Literature and Language (TSLL)という雑誌です:https://utpress.utexas.edu/journals/texas-studies-in-literature-and-language.

2022年6月に出版予定です。タイトルは、"Transnational Intimacy in Israel Potter"というものです。

徹底的に作品論となっている論文なのですが、今のアメリカではそういう論文を掲載してくれるところが限られています。そこで、このTSLLは中堅誌としての知名度もありながら、作品論を評価してくれる媒体として信用しています。そういう意味で、日本人研究者とも相性がいいのでは、と思っています。

TSLLに掲載されるのは2回目になります。1回目は、Walden論を載せた2016年でした。本当はあまり同じ媒体に載せないほうがいいのですが、論文とジャーナルの適性を考えて同じところに投稿したという事情です。今後は作品論を離れて、よりスコープの広い論文を書こうと思って、今は自己改造中です。

本論文は現在執筆中のメルヴィル単著に組み込まれる予定で、本の原稿となる論文が揃ってきました。あとはBilly Budd論をどこかに載せたいのですが、ここ3年ほどあちこちのジャーナルに投稿しては落とされ、を続けています。けっこう気に入っている論文なので落とされるのは不満なのですが、なかなか厳しいです。

いずれにせよ、単著のベースとなる論文はほぼ揃ってきたので、いよいよ本格的に執筆作業(日本語にして、全体を統一する)に取り組んでいるところです。





『ピェール』論集が刊行されます

論集 『メルヴィルの黙示――『ピェール』を中核として』(小鳥遊書房)の見本が届きました。 メルヴィルの奇書『ピェール』だけを論じた論集で、これ自体が奇書と言えそうです(両方ともいい意味で言っています)。収められた論文はなんと22本。出版社による情報はこちらから: https://...