ローレン・バーラント『残酷な楽観性』(岸まどか・ハーン小路恭子訳、花伝社)が近日中に刊行されます:https://www.kadensha.net/book/b10143590.html。
このたび、訳者のお二方からご恵贈いただきました。ソフトカバーで、手に持った質感もよい感じです。原著を引き継いだカバーも非常に印象的です。
訳者の岸さんは大学院の同期で友人、ハーン小路さんは大学院の先輩と、縁深い方々のお仕事になります。
ハーン小路さんはすでに各方面・各種媒体でご活躍中なのでご存じの方も多いと思いますが、岸さんはアメリカにご在住なので、まだ知る人ぞ知る、という存在かもしれません。超優秀な研究者であり、理論の卓越した翻訳家でもある岸さんのお仕事をもっと多くの方に知ってもらいたいと勝手ながら思っています。以前もこのブログで、彼女の単著を紹介しました:https://yoshiakifurui.blogspot.com/2024/12/blog-post.html。
バーラントの原著は私も読んだことがありますが、原著の出版は2011年と少し時間が空いているものの、希望を持つことがますます難しくなっている現代において、今こそ読まれるべき超重要文献です。これが日本語で読めるようになったのは非常に大きな意味があります。英語が難しいので、訳すのは大変だったろうなあ・・・と訳者の苦労が偲ばれます、ほんと。
私にとってバーラントといえば、ホーソーンを論じたThe Anatomy of National Fantasy: Hawthorne, Utopia, and Everyday Lifeを想起します。これもアメリカ文学研究では必読文献。他にも何冊も単著がありますが、『残酷な楽観性』がバーラントの著作の初めての翻訳とのこと。重要性のわりに意外ですが、原著が難しいので訳者が手を出しづらかったのでは・・・という気もします。
『残酷な楽観性』には充実した訳者解説もついており、バーラントを卓抜な訳文で読める贅沢な本です。興味がある方はぜひ。