2025年12月23日火曜日

2025年の仕事

気づいたら年末。今年の仕事の振り返りをしたいと思います。

【書いたもの】

*査読論文

Furui, Yoshiaki. "Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War." Journal of American Studies, vol. 58, no. 4, 2024, pp. 489-510. 

*共著

「痛みをまなざす:ディキンソンの脱制度的想像力」『病と障害のアメリカンルネサンス: 疫病、ディサビリティ、レジリエンス』髙尾直知・伊藤詔子・辻祥子・野崎直之編著、小鳥遊書房、2025年、pp. 171-94。

*分担執筆

『アメリカ文学史への招待ーー豊饒なる想像力』橋本安央・ 藤井光・ 坂根隆広編著、法律文化社、2025年(「ヘンリー・デイヴィッド・ソロー」「ウォールデンーー『森の生活』を担当)。

*学会プロシーディングズ

 「Breaking Englishーーメルヴィルのテクストスケープ」『Sky-Hawk: The Journal of the Melville Studies of Japan』第12巻、2025年、pp. 69-71。  

【口頭発表】

*学会発表

1、「博論から単著へーーアメリカ大学出版局奮闘記」シンポジウム「論文投稿と学術書出版のジオポリティクスーー海外ジャーナルとアメリカ大学出版局」、 筑波大学、2025年3月14日。

2、"No Asylum for Whalers: Japan in Moby-Dick." Oceanic Melville: Fourteenth International Melville Society Conference, University of Connecticut, 2025年6月17日.

*その他

1、「メルヴィル・アメリカ・世界文学」 福嶋亮大氏との対談、立教大学アメリカ研究所公開研究会、2025年10月14日。

2、「The Blue Humanities:海、みずうみ、川の環境人文学」 宮地尚子氏、山本洋平氏とのラウンドテーブル、明治大学、2025年12月5日。


また、来年以降の予定、進行中の仕事は以下の通り。

【共著】

1、A Cultural History of Solitude in the Nineteenth Century, edited by Catherine Samiei and Julian Stern, Bloomsbury (2026年に出版予定。19世紀アメリカ文学における孤独を論じたチャプターを寄稿)

2、 The Routledge Companion to Herman Melville, edited by Cody Marrs and Brian Yothers, Routledge (2027年に出版予定。『白鯨』を中心に、メルヴィル作品における日本表象を論じたチャプターを寄稿)

3、日本の論集にメルヴィル『ピエール』論を寄稿。2026年に出版予定。

【口頭発表】

1、2026年3月にアメリカの学会でメルヴィル「バートルビー」に関して発表予定。

2、2026年6月に国内のシンポジウムでメルヴィル『戦争詩集』について発表予定。

3、2026年7月に国内のシンポジウムでディキンソンの詩について発表予定。

【査読中の論文】

1、ポーのGordon Pym論を海外ジャーナルに投稿、査読中。

2、ホーソーン論を海外ジャーナルに投稿、査読中。

3、ブロックデン・ブラウン論が海外ジャーナルでRevise & Resubmitとなり、改稿中。

ここ2年は校務と学会仕事が本当に忙しく、特に今年は重い役職に就いていたため、思うように研究する時間を取ることができませんでした。とはいえ、こうまとめてみると忙しいなりに研究は頑張ったように見えます。細切れの時間でも研究できるよう、時間の使い方を見直す時期に来ているのを感じます。

今の自分のプライオリティは、なにより海外の有力ジャーナルで英語論文を出すことです。それがうまくいけば、次のアメリカで出す単著に繋げることができるはずで、来年はなんとかアクセプトをもぎ取りたいです。忙しさを言い訳にせず、頑張ります。

2025年11月21日金曜日

シンポジウムのお知らせ

12月5日に以下のシンポジウムに登壇します。参加費・登録不要とのことですので、ご興味があれば奮ってご参加ください。


The Blue Humanities

海、みずうみ、川の環境人文学

日時:2025年12月5日(金) 16:30〜20:00 

会場:明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン8階 308E教室


16:30-18:00  青の創発

序論「ブルー・ヒューマニティーズとは何か」山本洋平・小島敬太(明治大学) 

基調講演「多島海の思考—世界との関係を編み直すために」

中野真備(甲南女子大学)


18:10-18:50  ブルー・ヒューマニティーズの可能性

発表1「海はここに—『ブルー・マシン』をめぐって」林真(翻訳家、独立研究者)

発表2「海と詩」管啓次郎(明治大学)


19:00-19:30  ラウンドテーブル

古井義昭(立教大学) 宮地尚子(一橋大学) 司会 山本洋平


19:30-19:50  全体ディスカッション



主催:明治大学理工学研究科建築・都市学専攻総合芸術系〈総合芸術系〉

共催:KAKEN基盤研究B(研究代表者:山本洋平)「アメリカ(中/南)西部文学におけるトランスリージョナリズムとエコフェミニズム」(23K20452)


2025年11月5日水曜日

メルヴィル『戦争詩集』に関する論文が出版されました

 Cambridge University Press発行のJournal of American Studiesに、ハーマン・メルヴィル『戦争詩集』に関する論文が掲載されました:https://www.cambridge.org/core/journals/journal-of-american-studies/article/abs/
-the-south-reading-melville-across-the-civil-war/E8CAB90FB003B664B125B92E01BED98A?utm_campaign=shareaholic&utm_medium=copy_link&utm_source=bookmark

書誌情報は以下の通りです:

Furui, Yoshiaki. "Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War." Journal of American Studies, vol. 58, no. 4, 2024, pp. 489-510. 

この論文はすでに先行オンライン公開されていたので、「新作論文」という感じではありませんが、やはり正式に出版されたというのはとても嬉しいです。

この論文、出版までに非常に時間がかかっており、論文を書き終えたのはちょうど3年前、JASにアクセプトされてから今回の出版まで一年半かかりました。長い・・・。

論文データをほしいという方がいれば個別にご連絡ください。



2025年9月12日金曜日

福嶋亮大さんとの対談イベント「メルヴィル・アメリカ・世界文学」

来月10月14日(火)17時半から、立教大学にて福嶋亮大さんとメルヴィルをめぐって公開対談します。参加はどなたでも歓迎、無料、参加の仕方は対面・オンラインどちらも可です。詳細はこちらのリンクから:https://www.rikkyo.ac.jp/events/2025/10/mknpps000003b1xp.html。詳細は末尾にも記しておきます。

先日、拙著『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』に対してアメリカ学会中原伸之賞が授与されましたが、本イベントはその記念のような位置付けで、このように日の目を見ることは著者としては本当にありがたい限りです。

対談相手の福嶋亮大さんは文学部の同僚でもあり、近著『世界文学のアーキテクチャ』(PLANETS、2025年)ではメルヴィルに多くの紙幅を割き、大きな枠組みの中で『白鯨』を論じてらっしゃいます。

これがとてつもない本で、読んでいて文字通り圧倒されました。世界のあらゆる文学を縦横無尽に論じるその博識ぶりもさることながら、「世界が主体に先行する」という大きなテーゼを展開するダイナミックな論の運びにも感嘆しました。福嶋さんは2歳くらい上のほぼ同世代なのですが、そうした人がこのような壮大な本を書いている、ということに私は大きな刺激を受けています。

両書にはコミュニケーション革命、郵便、他者、近代的自我など、トピックの点でさまざまな共通点があると思いますが、一方で私は「研究者」、福嶋さんは「批評家」という立場で、メルヴィル文学に対するアプローチはさまざまな点で異なっているはずです。それぞれ違う立場からメルヴィルという巨大な怪物に立ち向かうとき、一体何が見えてくるのか。私自身、この対談を非常に楽しみにしていますし、ご関心がある方はどなたでもいらっしゃってください。

***

「メルヴィル・アメリカ・世界文学」

https://www.rikkyo.ac.jp/events/2025/10/mknpps000003b1xp.html

【日 時】

2025年10月14日(火)17:30~19:30

【場 所】

対面会場:池袋キャンパス 11号館 2階 A203教室 

ハイブリッド開催(Zoomウェビナー)

【内 容】

『誘惑する他者――メルヴィル文学の倫理』で今年度のアメリカ学会中原伸之賞を受賞した古井義昭氏と、近著『世界文学のアーキテクチャ』でアメリカ文学に鋭利な洞察を加えた福嶋亮大氏に、それぞれの著書が提起する問題の射程を対談形式で語っていただく。両氏が高く評価するメルヴィル文学をひとまずの足掛かりとし、そこから、アメリカという国家の可能性と限界、さらにはグローバリズムに還元されない世界文学のありようをめぐり、両氏がご専門とする「研究」と「批評」の方法論が豊かに交わる地平を探りたい。

【報告者】

古井 義昭(フルイ・ヨシアキ)エモリー大学英文科博士課程修了(Ph.D.)。現在、立教大学文学部教授。専門は19世紀アメリカ文学。単著にModernizing Solitude: The Networked Individual in Nineteenth-Century American Literature(University of Alabama Press, 2019年/日本アメリカ文学会賞・アメリカ学会清水博賞)、共著に『病と障害のアメリカンルネサンス──疾病、ディサビリティ、レジリエンス』(小鳥遊書房、2025年)など。最新の論文として “Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War”(Journal of American Studies, vol. 58, no. 4, 2024)がある。

福嶋 亮大(フクシマ・リョウタ)京都大学文学部博士後期課程修了。現在、立教大学文学部文芸思想専修教授。文芸批評家。著書に『復興文化論』(サントリー学芸賞受賞作)『厄介な遺産』(やまなし文学賞受賞作)『辺境の思想』(共著)『百年の批評』『らせん状想像力 平成デモクラシー文学論』『ハロー、ユーラシア 21世紀「中華」圏の政治思想』『感染症としての文学と哲学』『メディアが人間である』など。

【司 会】

舌津 智之(本学文学部教授・アメリカ研究所所長)

【対 象】

学生、教職員、一般

【主 催】

立教大学アメリカ研究所

【申 込】

事前申し込みが必要です。

対面申込み:https://s.rikkyo.ac.jp/auingkzq

ウェビナー申込み:https://s.rikkyo.ac.jp/83blph9w



2025年8月9日土曜日

ローレン・バーラント『残酷な楽観性』刊行

ローレン・バーラント『残酷な楽観性』(岸まどか・ハーン小路恭子訳、花伝社)が近日中に刊行されます:https://www.kadensha.net/book/b10143590.html

このたび、訳者のお二方からご恵贈いただきました。ソフトカバーで、手に持った質感もよい感じです。原著を引き継いだカバーも非常に印象的です。


訳者の岸さんは大学院の同期で友人、ハーン小路さんは大学院の先輩と、縁深い方々のお仕事になります。

ハーン小路さんはすでに各方面・各種媒体でご活躍中なのでご存じの方も多いと思いますが、岸さんはアメリカにご在住なので、まだ知る人ぞ知る、という存在かもしれません。超優秀な研究者であり、理論の卓越した翻訳家でもある岸さんのお仕事をもっと多くの方に知ってもらいたいと勝手ながら思っています。以前もこのブログで、彼女の単著を紹介しました:https://yoshiakifurui.blogspot.com/2024/12/blog-post.html

バーラントの原著は私も読んだことがありますが、原著の出版は2011年と少し時間が空いているものの、希望を持つことがますます難しくなっている現代において、今こそ読まれるべき超重要文献です。これが日本語で読めるようになったのは非常に大きな意味があります。英語が難しいので、訳すのは大変だったろうなあ・・・と訳者の苦労が偲ばれます、ほんと。

私にとってバーラントといえば、ホーソーンを論じたThe Anatomy of National Fantasy: Hawthorne, Utopia, and Everyday Lifeを想起します。これもアメリカ文学研究では必読文献。他にも何冊も単著がありますが、『残酷な楽観性』がバーラントの著作の初めての翻訳とのこと。重要性のわりに意外ですが、原著が難しいので訳者が手を出しづらかったのでは・・・という気もします。

『残酷な楽観性』には充実した訳者解説もついており、バーラントを卓抜な訳文で読める贅沢な本です。興味がある方はぜひ。

2025年6月22日日曜日

国際メルヴィル学会に参加してきました

コネチカット大学で開催された国際メルヴィル学会に参加してきました。

会場となったUniversity of Connecticut, Avery Pointは海沿いのキャンパスで、今回の学会のテーマである"Oceanic Melville"にふさわしい会場でした。

自分の発表では『白鯨』における日本表象についての考察を行いました。こちらの論文バージョンは来年海外で出版の共著に収録予定。


また、"Global Imaginings"と題されたパネルでは司会を担当。登壇者のEmilio Irigoyen、Nick Spenglerとは久しぶりの再会で、たくさん話ができてよかったです。特にNickの発表は私が今やっているアサイラムの研究と共鳴するところが多々あり、今回聞いた発表の中で一番興奮しました。今後の研究の展望が開ける思いがしました。

他にも、バークレーでお世話になったSam Otter先生と再会したり、私の論文を読んだと言って感想を伝えてくれる方もいたり、私が論文を読んで感銘を受けた著者と直接話ができたり、さまざまなメルヴィル研究者たちと交流ができました。もとが社交的な人間ではないので、社交、社交の連続で疲れはしましたが、いろんな人脈を築けた貴重な機会となったのは間違いありません。

また、一緒にパネルを企画したPaul Hurhさんと数人でディナーをご一緒した際には、アメリカでの出版事情について話を聞くことができ、アメリカのUPから単著を出す、という私の現在のプロジェクトについてもやる気をもらいました。

それにしても、今回は(今回も)日本人研究者の参加が非常に目立ち、12、3名は発表していたはずです。アメリカの研究者たちからは、「なんで日本ではメルヴィル研究がこんなに盛んなんだ?」と何度も聞かれましたが、うーん、謎です。

2025年6月13日金曜日

国際メルヴィル学会に参加してきます

来週からアメリカのコネティカット大学で開催される第14回国際メルヴィル学会に参加してきます。

国際メルヴィル学会に参加するのは、2015年の日本開催大会、2019年のNY開催大会、2022年のパリ開催大会に続いて4回目です。毎回、世界中から多くのメルヴィル研究者が集い、メルヴィル研究の熱を感じられる貴重な機会です。また毎回のことですが、メルヴィル研究では日本の研究者のプレゼンスが目立ち、今回も10人以上の日本人研究者が発表をします。

私は発表と司会をそれぞれ一回担当します。発表に関しては以下の"Pacific Alterities"というパネルに参加します。

このパネルは、同じ登壇者のPaul Hurhさん(アリゾナ大学)と私で企画したものです。海外で発表はたくさんしてきましたが、パネルを企画したのは今回が初めてでした。Hurhさんには以前、私が企画したイベントに参加していただいた経緯があったり、私が彼の著書American Terror: The Feeling of Thinking in Edwards, Poe, and Melville (Stanford UP, 2015)を書評したこともあったりと、いろいろな縁が繋がって今回の企画に至りました。さらには彼の大学院時代の指導教員はSamuel Otterで、Samは私がカリフォルニア大学バークレー校で研究員をしていた頃の受け入れ教員でもあり、研究の世界というのはまさにsuch a small worldです。

また、私の発表内容はこれまでの研究者人生で初めての日本を絡めた内容となっています。来年に出版予定の海外から出る共著用に書いた原稿をもとに、『白鯨』における日本の他者性というテーマで発表します。

あともう一つ、司会を務めるパネルは以下のとおり:


登壇者のEmilioとNicholasは、以前Leviathanの特集号"Melville and Spanish America"で一緒に仕事をしたことがあり、そういう縁で司会の仕事が回ってきました。

こうしてみると、私もそこそこ長く研究していることもあって、それなりに海外の研究者とも関係性を構築してきたのだなと思います。今回の学会参加を通じて、さらに世界の研究者たちといい交流ができればと期待しています。

2025年の仕事

気づいたら年末。今年の仕事の振り返りをしたいと思います。 【書いたもの】 *査読論文 Furui, Yoshiaki. "Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War."  J...