今年の仕事の振り返りをします。今年の仕事は以下の通りです。
【単著】
『誘惑する他者──メルヴィル文学の倫理』法政大学出版局、2024年。
【査読論文】
"Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War." Journal of American Studies, forthcoming.
【その他の書いたもの】
・「寂しさの発明──オースターとメルヴィル」『ユリイカ ポール・オースター特集号』pp. 186-94、2024年。
・(書評)西谷拓哉・髙尾直知・城戸光世編著『ロマンスの倫理と語り──いまホーソーンを読む理由』 (開文社、2023年)、『英文学研究』第101号、pp. 155-59、2024年。
【口頭発表等】
・(学会発表)「痛みを測る──Dickinson作品における言語と他者」第96回日本英文学会シンポジウム 「健康・病・障害──19世紀アメリカ文学の新展開」、 2024年5月5日、東北大学
・(学会発表)「Breaking English──メルヴィルのテクストスケープ」第11回日本メルヴィル学会「思想家を通してメルヴィルを語る」、2024年9月15日、龍谷大学
・(阿部幸大氏との対談)「アカデミック・スキルと日本の人文学の未来」2024年8月29日、紀伊國屋書店新宿本店
今年はなによりメルヴィルに関する単著を出版したことが大きな成果ですが、もうだいぶ前の話ですし、10年間の研究成果をまとめた本なので、「今年の仕事」という感じがしません。
Journal of American Studiesに掲載が決まった論文は、本来は今年出版予定だったのですが、ケンブリッジ大学出版局がサイバー攻撃を受けて復旧に時間がかかっており、世に出るのは来年になってしまいました。サバティカル時代に書いた論文がいいジャーナルに掲載が決まって嬉しいです。
上記以外にも、今年はこれから出る共著など、書き仕事をけっこうやりました。今後の出版予定などを以下に記します。
【共著】
・上記のディキンソンと痛みに関する論を論文化し、国内の共著に寄稿。2025年出版予定。
・solitudeに関する海外の共著に寄稿。2026年出版予定。現在、編者のコメントを受けて改稿中。
・メルヴィルに関する海外の共著に寄稿。2026年出版予定。
【項目執筆】
・アメリカ文学史の教科書にソローに関する項目を二つ寄稿。2025年出版予定。
【学会発表】
・2025年、アメリカでの国際メルヴィル学会で発表予定。
今年はとにかく校務に追われまくって研究ができなかった、という記憶しかないのですが、こうしてまとめてみるとそれなりに頑張ったように思えます。特に海外から共著執筆依頼が二つあったのは、英語での研究活動が向こうでも認められたようで嬉しく、頑張って原稿を書きました。
来年は今年以上に校務が忙しくなりそうなのですが、なんとか自分の研究時間を守れるように頑張っていきたいです。
大学に就職して以来、長期休みごとに英語論文を一本書き、それを海外ジャーナルに投稿するというペースを死守してきましたが、今年は依頼原稿を書くので手一杯で、初めてそれができませんでした。これまで自分の研究、自分のペースを守ることに囚われてきたところがあるので、ある程度は依頼に身を委ねて仕事の幅を広げつつ、一方では査読論文を書くということも継続していきたいです。