2022年7月14日木曜日

Typee論が出版されました

アメリカ学会発行のThe Japanese Journal of American Studies最新号に、私のTypee論が掲載されています。

書誌情報は以下の通りです:

Furui, Yoshiaki. "Through an 'Impenetrable Thicket': Penetrating Depth and Alterity in Melville's Typee." The Japanese Journal of American Studies, no, 33, 2022, pp. 133-50. 

本論は、私が現在取り組んでいるメルヴィル単著企画の一部で、メルヴィルの他者表象についての論文です。エイハブの原型がTypeeの主人公トンモに見い出せる、という議論をしています。よく議論されているトンモの性的不全に関しても、性的不全ではなくて、意図的に性的関係を結ぼうとしていない、という仮説を提示しています。私にしては思い切った仮説を提示したのですが、どう受け取られるでしょうか。

日本の査読誌に投稿したのは学生時代以来で、すごく久しぶりです。アメリカ学会には一度も論文を掲載したことがありませんでした。ひと通り日本の雑誌には掲載してもらったので、今後は投稿することはないと思います。これからはまた海外の査読誌を目指すことになるでしょう。

今回の論文で、メルヴィルに関する論文はひと通り出版されたことになります。あとはすべてを日本語に直し、単著にまとめていきたいと思います。

また、これで論文発表はひと段落したこともあり(まだアクセプトされていない論文も残っているのですが)、これから2、3年は新しい論文を発表しない気持ちで、より高いレベルの論文を時間をかけて書きたいと思います。

2022年7月6日水曜日

ドイツで開催される国際ワークショップに参加します


今月18日、19日にドイツのベルリン(ベルリン自由大学)で開催される国際ワークショップに参加してきます。

"Literature's Loneliness: A Comparative Perspective"というタイトルのワークショップで、文学と孤独の関係に関心がある研究者たちが集い、自分の研究について発表をし、それに基づいて議論をする、という内容になっています。私は、以前刊行したメルヴィルの『白鯨』論について発表してきます。

参加者はドイツ、アメリカの研究者が主ですが、そこに1人だけアジア人として参加してきます。研究対象はイギリス文学、ドイツ文学、そして私のようにアメリカ文学とそれぞれです。

孤独について研究している人は自分くらいなんじゃないか、と思っていたところ、世界は広いもので、あちこちにいるようです。まさかドイツでメルヴィルについて話す日が来るとは夢にも思いませんでした。今回お声がかかったのは、私がアメリカで出版したModernizing Solitudeを主催者の方が読んでくれたことがきっかけでした。やはり、英語で研究発信するということは、英語圏だけではなく、英語を使う広範な研究者たちにリーチするのだな、と嬉しくなりました。日頃はいったい誰に読まれているのだろう、と不安になるのですが。

今後の研究に繋がるいい意見交換ができれば、と期待しています。



『週間読書人』で拙著が取り上げられました

12月20日刊行『週間読書人』の「2024年回顧--収獲動向」という特集で、拙著『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』が取り上げられました。評者は福岡女子大学の長岡真吾先生です。 「海外学術誌に掲載された論文を日本語にしてまとめた精緻な労作」と紹介してくださっています。ありがとう...