9月15日(日)に日本メルヴィル学会年次大会が龍谷大学大宮キャンパスで開催されます:https://www.melville-japan.org/。
私は以下のシンポに登壇します。
連続特別企画第2回「思想家を通してメルヴィルを語る」
司 会 竹内 勝徳 氏(鹿児島大学)
報告者
小椋 道晃 氏(明治学院大学)
古井 義昭 氏(立教大学)
この企画は、ジル・ドゥルーズ「バートルビー、または決まり文句」(『批評と臨床』所収)と、Michael Jonik, “Murmurs, Stutters, Foreign Intonations: Melville’s Unreadables”という二つのテクストをもとに、発表者各自で応答を試みるというものです。
学会プログラムでは公開されていませんが、私の現時点での発表タイトルは「Breaking Englishーーメルヴィルのテクストスケープ」というもので、主にドゥルーズの「マイナー文学」「脱領土化」といった概念を参照しながら、メルヴィル作品における英語のマイナー性について話をしようと思っています。メルヴィル文学をドゥルーズ・ガタリ的な意味とは違った意味での「マイナー文学」として読むことができるのではないか、というのが一つの主張になります。
発表タイトルにもある「テクストスケープ」というのは私の造語で、思いついたときは絶対に人文系ですでに論じられていると思ったのですが、まだ使われていないようです。これの意味するところは、テクストを一つの風景として捉え、ある言語によって占有される「領土」としてその風景を理解することにあります。英語で書かれた小説なら英語のテクストスケープを読者は目にするわけですが、メルヴィルの場合、英語の領土のなかにさまざまな外部への回路が用意されており、ハイブリッドなテクストスケープが提示されているように思います。
口頭発表のときはいつも論文化を前提にしているので、まずは論文を書き、それを圧縮したものが口頭発表の原稿となるのですが、今回は初めて論文化を前提としないで、口頭発表用の原稿を用意しています。
最近は他の論文で忙しく余裕がないというのもあるのですが、今回は議論を論文として完成させないで、少し自由にアイディアを試すということをあえてやってみようと思いました。頑張ります。