2025年5月29日木曜日

共著が出版されます

5/30に出版予定の共著が手元に届きました。髙尾直知・伊藤詔子・辻祥子・野崎直之編著『病と障害のアメリカンルネサンス:疫病、ディサビリティ、レジリエンス』(小鳥遊書房、2025年)という本です。出版社の情報はこちらから:https://www.tkns-shobou.co.jp/books/view/705

私は第8章「痛みをまなざす:ディキンソンの脱制度的想像力」(pp. 171-94)という論文を寄稿しています。エミリー・ディキンソンの詩における「痛み」を、近年注目が集まっている医療人文学(medical humanities)という批評的潮流のなかに位置付けながら論じました。ディキンソンについて論じるのは、最初の単著Modernizing Solitude (2019)で論じて以来、かなり久しぶりでした。論の出来は読者に判断してもらうしかないですが、楽しく書くことができました。

ご興味のある方はぜひ手に取っていただければと思います。


2025年5月20日火曜日

『誘惑する他者』書評

アメリカ学会発行の『会報』第217号の新刊紹介欄にて、『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』が取り上げられました(p. 16)。評者は鈴木一生先生です。オンラインでも公開されています:https://www.jaas.gr.jp/wp23/wp-content/uploads/2025/05/%E4%BC%9A%E5%A0%B1217.pdf

短い書評ではありますが、限られた紙幅の中で、本書で私が強調したかったポイントを掬い上げてくださいました。「倫理の一般性を振りかざすのではなく、あくまで作品側から抽出される倫理の個別性や流動性にこだわる古井氏の姿勢は、多くの文学研究者を勇気づけてくれる」と書いてくださいましたが、この評に私自身が勇気づけられました。

一般論を導くのではなく、あくまで作品読解を通じて個別具体性を提示することが文学研究者の仕事であると再認識した次第です。ありがとうございました。




2025年5月15日木曜日

『誘惑する他者』書評

東京大学アメリカ太平洋地域研究センター発行の 『アメリカ太平洋研究』第25号にて、吉国浩哉先生に『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』を書評していただきました。「21世紀の「文学の終わり」というタイトルの書評です(pp. 133-40)。

アメリカ文学をご専門にされながら、思想・哲学にも知悉している吉国先生らしく、柄谷行人、ルカーチ、近年のポストクリティークなどを参照しながら拙著をcriticalにマッピングしていただきました。濃密な書評です。理論に弱い自分には、理論的見地から大局的に自分の議論を俯瞰することができないので、拝読して非常に勉強になりました。学会以外の媒体で紹介されるとは思っていなかったので、取り上げてくださったことは嬉しい驚きでした。ありがとうございます。



国際メルヴィル学会に参加してきました

コネチカット大学で開催された国際メルヴィル学会に参加してきました。 会場となったUniversity of Connecticut, Avery Pointは海沿いのキャンパスで、今回の学会のテーマである"Oceanic Melville"にふさわしい会場でし...