来月10月14日(火)17時半から、立教大学にて福嶋亮大さんとメルヴィルをめぐって公開対談します。参加はどなたでも歓迎、無料、参加の仕方は対面・オンラインどちらも可です。詳細はこちらのリンクから:https://www.rikkyo.ac.jp/events/2025/10/mknpps000003b1xp.html。詳細は末尾にも記しておきます。
先日、拙著『誘惑する他者:メルヴィル文学の倫理』に対してアメリカ学会中原伸之賞が授与されましたが、本イベントはその記念のような位置付けで、このように日の目を見ることは著者としては本当にありがたい限りです。
対談相手の福嶋亮大さんは文学部の同僚でもあり、近著『世界文学のアーキテクチャ』(PLANETS、2025年)ではメルヴィルに多くの紙幅を割き、大きな枠組みの中で『白鯨』を論じてらっしゃいます。
これがとてつもない本で、読んでいて文字通り圧倒されました。世界のあらゆる文学を縦横無尽に論じるその博識ぶりもさることながら、「世界が主体に先行する」という大きなテーゼを展開するダイナミックな論の運びにも感嘆しました。福嶋さんは2歳くらい上のほぼ同世代なのですが、そうした人がこのような壮大な本を書いている、ということに私は大きな刺激を受けています。
両書にはコミュニケーション革命、郵便、他者、近代的自我など、トピックの点でさまざまな共通点があると思いますが、一方で私は「研究者」、福嶋さんは「批評家」という立場で、メルヴィル文学に対するアプローチはさまざまな点で異なっているはずです。それぞれ違う立場からメルヴィルという巨大な怪物に立ち向かうとき、一体何が見えてくるのか。私自身、この対談を非常に楽しみにしていますし、ご関心がある方はどなたでもいらっしゃってください。
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「メルヴィル・アメリカ・世界文学」
https://www.rikkyo.ac.jp/events/2025/10/mknpps000003b1xp.html
【日 時】
2025年10月14日(火)17:30~19:30
【場 所】
対面会場:池袋キャンパス 11号館 2階 A203教室
ハイブリッド開催(Zoomウェビナー)
【内 容】
『誘惑する他者――メルヴィル文学の倫理』で今年度のアメリカ学会中原伸之賞を受賞した古井義昭氏と、近著『世界文学のアーキテクチャ』でアメリカ文学に鋭利な洞察を加えた福嶋亮大氏に、それぞれの著書が提起する問題の射程を対談形式で語っていただく。両氏が高く評価するメルヴィル文学をひとまずの足掛かりとし、そこから、アメリカという国家の可能性と限界、さらにはグローバリズムに還元されない世界文学のありようをめぐり、両氏がご専門とする「研究」と「批評」の方法論が豊かに交わる地平を探りたい。
【報告者】
古井 義昭(フルイ・ヨシアキ)エモリー大学英文科博士課程修了(Ph.D.)。現在、立教大学文学部教授。専門は19世紀アメリカ文学。単著にModernizing Solitude: The Networked Individual in Nineteenth-Century American Literature(University of Alabama Press, 2019年/日本アメリカ文学会賞・アメリカ学会清水博賞)、共著に『病と障害のアメリカンルネサンス──疾病、ディサビリティ、レジリエンス』(小鳥遊書房、2025年)など。最新の論文として “Ventriloquizing the South: Reading Melville across the Civil War”(Journal of American Studies, vol. 58, no. 4, 2024)がある。
福嶋 亮大(フクシマ・リョウタ)京都大学文学部博士後期課程修了。現在、立教大学文学部文芸思想専修教授。文芸批評家。著書に『復興文化論』(サントリー学芸賞受賞作)『厄介な遺産』(やまなし文学賞受賞作)『辺境の思想』(共著)『百年の批評』『らせん状想像力 平成デモクラシー文学論』『ハロー、ユーラシア 21世紀「中華」圏の政治思想』『感染症としての文学と哲学』『メディアが人間である』など。
【司 会】
舌津 智之(本学文学部教授・アメリカ研究所所長)
【対 象】
学生、教職員、一般
【主 催】
立教大学アメリカ研究所
【申 込】
事前申し込みが必要です。
対面申込み:https://s.rikkyo.ac.jp/auingkzq
ウェビナー申込み:https://s.rikkyo.ac.jp/83blph9w